どの場面をとっても、涙をこらえるので必死になった。
故郷を、日本を見捨てないで戦ってくれた全ての人に、これまでの自分の認識誤りを謝罪して、感謝の気持ちを伝えたい。
とまぁ堅苦しい感想のひとつでも述べたくなる本です。
福島第一原発
アマゾンのアンリミテッドで本を読んでいます。
今回読んだ本は死の淵を見た男という本です。
東日本大震災の折、福島第一原発で起きた出来事をまとめたノンフィクション作品です。
細かく取材してあって、現場の出来事をリアルに感じられる作品でした。
名作です。
死を覚悟して戦ってくれた人たち
あの日、原発は本当にギリギリのところだったんだなぁと思いました。
ベントベントと日本中で言われていましたが、これを命がけでやってくれた人がいたんですよね。
これまで、東京電力っていう組織でしか見ていませんでしたが、現場には人がいて、いろんな思いが渦巻く中、自分が引いたら日本が終わると必死で踏ん張ってくれた人がいた。
会社の管理部門にいると現場のことに疎くなって、現場がどれだけ頑張ってくれているかわかんなくなるなぁとは思っていましたが、私の認識も改める必要があるとわかりました。
全ての電源が落ちた中央制御室に残って作業を続けなければならないって想像を絶する覚悟をもってしなければできないことだと思います。
吉田所長の使命感
吉田所長の侠気にも、胸を打たれました。
部下を大切にしながら、それでもやらなきゃいけないことはなにか、理解して、実践されていたことを知りました。
吉田所長だからあの状況を乗り越えることができたんでしょう。
官邸から海水冷却の中止要請があり、その後本店からの中止命令があるのですが、とにかく冷却を続けなければならない状況で、本店の命令に従ったふりをして海水の注入を続けたというエピソードが取り上げられていましたが、これも吉田所長の使命感を感じさせるものでした。
日本を守るために戦う
あのとき、福島のため、日本のため、死を覚悟して奮闘してくれた全ての人に、それぞれのエピソードがあり、思いがあった。
それでも、自分の使命だと、当たり前のことだとやってのけてくれた。
頭が下がります。
こういう人がまだいてくれるんだと思うと、日本はいい国だなぁと思います。
原発のニュースって悪いことはよく取り上げられますがいいことはなかなか取り上げられません。
読む価値のある本でした。
管理部門の人に読んでもらいたい
あの日の東京電力の対応に疑問を持っている人に読んでもらいたいです。
それから、会社の管理部門にいる人にも読んでもらいたいかな。
私も今管理部門にいるんですが、現場から遠ざかっているなあと思ってます。
現場の人たちって目の前のことにひっしになるんですよ。
んで、時々困ったことになります。
帳尻合わせに翻弄される身としては、現場の感覚に歯がゆさを感じるのですが、私の感覚もわがままだと思いました。
私でも現場の、技術屋としての使命感には頭が下がる思いを抱くことがあります。
私は管理部門にいる人間ですが、現場の連帯感とか仕事に対する情熱とか、彼らの人間らしさとか、羨ましいと思っています。
私だってもっと自由に仕事したい。
ほとんどの管理部門の人間はそう思っているのではないでしょうか。
現場も管理もお互い理解しあいたいですね。
福島の事故とは関係ありませんが、そんなことをつらつらと思いました。
タイムリーに映画になります
さっき知ったんですが、福島フィフティというタイトルで映画化されるそうです。
福島フィフティというのは、必要最低限の人間だけ残して待避がなされたあと残った69名のことを指していう言葉だそう。
うーん、ちょうどいいので近くで上映されていたら見に行きます。
最後に
吉田所長の言葉を引用させてください。
「格納容器が爆発すると、放射能が飛散し、放射線レベルが近づけないものになってしまうんです。ほかの原子炉の冷却も、当然、継続できなくなります。つまり、人間がもうアプローチできなくなる。福島第二原発にも近づけなくなりますから、全部でどれだけの炉心が溶けるかという最大を考えれば、第一と第二で計十基の原子炉がやられますから、単純に考えても、〝チェルノブイリ×10〟という数字が出ます。私は、その事態を考えながら、あの中で対応していました。だからこそ、現場の部下たちの凄さを思うんですよ。それを防ぐために、最後まで部下たちが突入を繰り返してくれたこと、そして、命を顧みずに駆けつけてくれた自衛隊をはじめ、沢山の人たちの勇気を称えたいんです。本当に福島の人に大変な被害をもたらしてしまったあの事故で、それでもさらに最悪の事態を回避するために奮闘してくれた人たちに、私は単なる感謝という言葉では表わせないものを感じています」
本当に、あの時、それから今も、頑張ってくれた、頑張ってくれている皆さん、ありがとうございます。